ガーデン便り

2022-03-06 12:53:00

2022年3月6日 2月のガーデン便り「雪解け」

2月のガーデン便りです。

 

長かった雪の季節がほぼ終わりました。最後までガーデンに残っていた雪は解けてなくなり、やっと開墾と植え付けがまともにできるようになりました。

と書き出そうと思っていたのですが、なんと、今日は朝から雪が降っています。930分の時点で気温は3、積雪は3cmです。

 

2月は雪のせいもありましたが、西側のヒノキの山林伐採のため、所有者との交渉、伐採業者との交渉、伐採のための重機進入路の確保の準備に追われ、開墾と植え付けの作業はほとんど進んでいません。ただし、春はすぐそこまでやってきています。ロウバイの花が咲き、ネコヤナギのモフモフの花穂(かすい)が見事に開いています。

2022.02.26_ネコヤナギのモフモフ_IMG_0652_s.jpg 

本日中には、ユリの球根の植え付けを完了させたいと思っていますが、昼からの天気次第です。2月、3月は新苗が結構店頭に出てきますので、ついついあちこちの売り場で買ってしまいます。植え付けができていないのでどんどんたまる一方となってしまっています。植えるものには事欠かない状況を何とかするには、一苗一苗順次植えていくしかありません。

 

雪の被害も結構ありました。シャクナゲ等の枝折れが、結構発生しました。昨年植えた柑橘系のポンカンは、12月の大雪にやられてとうとう枯れてしまいました。耐寒性は全然ダメでしたね。ところが、京北のコメリで売られていたレモンの苗は、外の売り場で大雪が積もっているにもかかわらず、じっと耐え、緑の葉っぱは、まったく枯れていなかったのです。これには驚きました。耐寒性有りの苗と確信し、苗木が半額になったところで早速購入して、ガーデンに持ってきました。枯れたポンカンを除去してから、このレモンを植え付ける予定です。

 

2月は「ブナの森ガーデン」の実現のための大きな成果が出てきました。まさに山が動いた、道が開けた、と言っても過言ではありません。

 

まず、ガーデン西側の山林700坪を所有者であるYさんから、借りる交渉がまとまりました。 Yさんの山林は私が借りる部分を含めて2856坪あります。本来であれば、土地を分筆し700坪を買うことになるのですが、山林を分筆するためには測量をしなければなりません。測量には多額の費用がかかる(土地購入費用よりはるかに高い)ため、無駄金は使わないこととし、賃貸とすることにしました。

 

公道、林道に面していない山林の土地査定価格はほとんどゼロで、スギ、ヒノキの立ち木の売却価格がその価値となります。ところが、現実には、伐採のための経費(人件費、重機費用、搬出費用)が、木材売却価格を上回ってしまうため、山林所有者は儲かるどころか、経費の赤字部分を支払わなければなりません。今回の場合は、この伐採費用の赤字分を私が負担することとし、伐採後の山林を借りるということにしたわけです。Yさんにとっては、伐採での費用負担はないし賃貸料が収入として入るので非常に得な話となるようにしています。さらに、ガーデン経営が安定し黒字化できた暁には、所有の山すべてを買いますとYさんには伝えています。

 

一方、Yさんの山林の南側の山林150坪は、Kさんという方の所有となっていました。連絡を取り、土地買収と木材伐採の交渉を行いましたが、Kさんの要求金額が高すぎ、結局物別れの結果となりました。この土地のヒノキ、スギが残ると、南側にあるため、Yさんの山林の日照条件が悪くなります。ガーデン側も日照が一部制限されます。しかしながら、山林の取引の常識からかけ離れた金額で買うわけにはいきません。断腸の思いですが、交渉はこちらからお断りしました。双方がWin Winとならなければ、けっして取引を行ってはならないというのが私の信念です。

 

山林の伐採業者の選択肢としては、地元京北の京北森林組合、隣の南丹市の日吉森林組合、あとは地元の林業業者の3つがあります。私は、京北森林組合には、このガーデンの土地を買った際、スギ50本を伐採してもらいましたので、まずは京北森林組合で見積を取るつもりでおりました。ところが、Yさんから、四辻木材という業者が知り合いにいるので、声をかけてみたとの連絡をうけました。その翌日、木材搬出路の笹刈りをしていると、四辻木材の若社長とその親父さんが山にやってきました。なんと対応の早いこと。二人を伐採依頼する場所に案内し、いろいろと話を聞きました。その話の中で、北隣のMさんのヒノキを一緒に伐採する旨を聞いたのです。

 

なんということでしょう。たまたま偶然にも、ガーデン西隣の山林と西北隣の山林の伐採の話が同時に進んでいたのです。これは、私にとってはこれ幸い。私の費用負担はYさんの山林700130本のヒノキ伐採分のみ、Mさんの分は関係ありません。同時に伐採が行われることによって、ガーデンから見た借景に入ってくるヒノキが、ほとんどなくなることになります。木材搬出ルートは、ガーデンの桜並木の間を重機を通して行うということになりました。桜並木の場所は、将来の木材伐採を想定して重機が出入りできるようにするため、ガーデンとの間にフェンスを設置して長方形に分断していた場所です。西と東のフェンスを開閉できるように細工し、今回の伐採に使えるようにしました。

 

Mさんの伐採が追加され、材木伐採から搬出にかかる日数は倍になりますが、私にとっては出費を最小限に抑えて、ガーデン周辺のヒノキ伐採を行うことができるわけです。四辻木材へ支払う費用は最小限の負担だけとなりました。Yさんはちょっと高いなと言います。本当は相見積もりを取るべきでしょうが、私としてはYさんの山林700坪とMさんの山林444坪、合わせて1144坪の山林のヒノキ250本近くをわずかの負担で伐採できることになりますので、かなりリーズナブルだといえるでしょう。伐採の着手は3月下旬の予定です。

 

Yさんは、今後の私のガーデン経営を心配し、いろいろとプラスになることをやってみようとしてくれています。山林を伐採し、樹種を広葉樹に転換して植林をするのには、補助金が出るということで、山林所有者としてその申請をやってみようとしています。また、自分の知り合いに、声をかけて、よくガーデンに連れてきています。

 

先日、Yさんの紹介で、森林プランナーの肩書で活動している女性がガーデンにやってきました。UMさんという30代と思われる方です。土木工学の修士課程を修了し、日吉森林組合で10年ほど勤務ののち、独立して森林プランナーとして活動しているとのこと。今の日本の森林の現状を憂い、どうやったら森林をもっと活用できるのかをコーディネイトするのが仕事だそうで、話を聞くと、どうも人と人を結びつけるのを得意としているようでした。

 

私は、ヒノキを伐採して、ブナを中心とした広葉樹林につくり変えようとしていることに対して、アドバイスをもらおうと思ったのですが、彼女は真っ先にC.W.ニコルさんを御存じですか?と聞いてきました。これには驚きました。さらに驚いたことには、彼女は、日吉森林組合の研修の一環で、長野黒姫のC.W.ニコルさんのアファンの森に行き、ニコルさんの片腕として森の整備に当たっていた松木さんの指導を受けたのだそうです。

 

UMさん、Yさん、私で、当該山林の現場を見て回りながら、彼女は、この山林であれば、ブナなどの広葉樹林につくり変えるにはうってつけだと思うと言ってくれました。さらに、この山林は立地条件としてすごくポテンシャルが高いですね、とも言われました。私はうれしくなりました。

 

ガーデンを造り、森を創っていくために、若い人が集まってくれるか心配であるという話をしたところ、彼女はこう言いました。今の若い世代の根本思想には、ジブリ、宮崎駿の考え方が根底にある、ブナの森ガーデンのイメージはそれにマッチしているので、若い世代の共感は得られるのではないか、だそうです。 私は、なるほどと思いました。同時に、ブナの森ガーデンを実現するためには、私一人の力では到底達成できないので、できるだけ早いタイミングで、ホームページ、SNSなどでの発信を起こなわなければだめだなと確信しました。

 

そのあと、建物内でココアを飲みながら、いろいろと地元で相談できる方々を紹介いただき、スズキのジムニーを颯爽と運転して彼女は帰って行きました。

 

ではまた。

京北のガーデンにて

小田木 一富

2022-02-06 12:51:00

2022年2月6日 1月のガーデン便り「雪だるま」

1月のガーデン便りです。

 

今年の冬は、本当に雪がよく降ります。昨年末からの雪はいまだにガーデンに残っています。今朝、雪が降ったため、またガーデン全体が新雪で10cm覆われました。残雪の残っている場所では新雪がプラスされ15cmほどの積雪です。ひどいところは建物の屋根の下で、屋根から落ちてきた雪が溜まって山のようになりカチカチに凍っているため、なかなか溶けません。まだ、膝高さ以上残っています。

2022.01.18_雪だるま_IMG_0275_s.jpg 

 1月はこの雪のため、作業ができる時間が半分以下になってしまいました。なかなか、思ったように仕事が進みません。球根の植え付けは、残すところユリが40球ほどあり、本日完了したいと思っていましたが、午後の天気次第です。 草の根の除去まではやりたいと思っています。

 

冬の作業で注意すべき点は、土の中に残っている球根や宿根草の根を傷つけずに、耕し、堆肥をすきこみ、新たに球根の植え付けを行う必要がある点です。今回も、うっかり埋まっていたユリの球根をざっくりと切ってしまったりしてしまいました。

 

私は、ユリや宿根草の場所がわからなくなるのを防ぐため、20cmほどに切った直径10mm以下の竹を土に刺しているのですが、1年もたつと、竹が朽ちて抜けたりして、元の場所が分からなくなっているので困ったものです。これには、目印の竹を更新して突き刺すしかないのですが、もう少し何かうまい知恵はないものでしょうか。

 

冬のガーデンは花もなく、寂しい限りですが、一羽の野鳥がこのガーデンをなわばりにして、ピッ、ピッ、と鳴いています。私が耕した後は、必ずその場所にやってきて、何か食べ物はないかと、しきりに土をつついています。調べるとジョウビタキという野鳥でした。あまり人間を怖がらないようです。私が耕していると、すぐ、横まで飛んできて、早くどいてくれとばかりに、待っているのです。オレンジ色のおなかのこのジョウビタキは、渡り鳥ですが、群れをつくらないようです。冬はエサが少ないため、群れをつくると、群れ全体がエサ不足の危険な状態となることから、それぞれの個体がなわばりの中でエサを探すそうです。

2022.02.01_ジョウビタキ_IMG_0598_s.jpg ジョウビタキのオス 

ところで、今年も上野ファームのカレンダーを購入し、建物の中に掲示しました。ガーデンのカレンダーは、そのガーデンを表現する商品ですので、とても重要であると考えています。研究のため、日本各地のガーデンのカレンダーを取り寄せて資料として置いています。ただ、どこのガーデンも、冬の時期の写真には苦労しています。冬の写真を全く使わないガーデンもあります。上野ファームも、本来は11月~3月は雪景色になってしまうはずですが、カレンダーの雪景色は、12月の1枚だけです。まあ、これも仕方はないと思います。

「ブナの森ガーデン」のカレンダーは、ぜひ制作し、商品としたいと思っています。商品として魅力的な写真が必要です。写真の撮り方は、もっともっと研究しなければなりません。冬の時期の写真をどうするか、これもなかなか難しい問題です。

 

カレンダーといえば、わが家でも、毎年、カレンダーを3部作成し、かみさんの実家、私の実家、自宅に掲示しています。子どもが小さい頃から、このカレンダーづくりは、私の大晦日の仕事となってしまっています。月ごとに前年の写真をセレクトし、A4でプリントアウト、その下には、毎月のカレンダーの数字部分を別途A4でプリントアウトしたものをスコッチメンディングテープで貼り合わせます。上には綴じ代となる2cm幅の帯を同じくテープで貼り合わせ、それを12か月分綴じるのです。

 銀塩写真からデジカメに切り替わった時からスタートしましたので、もう20年近く続けています。 最近は、なかなか家族の写真を撮る機会がないため、子どもから、何かカレンダーに使える写真はないかと、送ってもらい、不足の部分はガーデンの写真を入れて12か月分をなんとかそろえています。2022年カレンダーもかろうじて写真を揃えました。

 

ではまた。

京北のガーデンにて

小田木 一富

2021-12-30 12:50:00

2021年12月30日 12月のガーデン便り「C.W.ニコルさんのこと」

12月のガーデン便りです。

今回はいつもよりちょっと早めに発信しました。今日は、京北での作業の仕事納めです。

 

今年の冬は、雪がよく降ります。1218日の初雪の積雪は、40cm。また、1226日から降り始めた雪は28日朝の時点で積雪25cm

今日は、午前の時点で10cmの雪が残っていました。12時の外気温は6です。

2021.12.28_建物北東側から_IMG_9978_s.jpg 2021.12.28撮影 雪のガーデン

京北のガーデンは、府道78号から林道を40m入らなければなりません。府道はしっかり除雪されますので、スタッドレスタイヤを装備していれば何等の問題もありません。しかし、林道は除雪されないので、自力で除雪する必要があります。特に府道と林道の境界は、除雪車による圧雪が固まっていますので、40cmの積雪となると、2WDの私の車では歯が立ちません。以前は4WDでしたので前進後進を繰り返してラッセルすれば何とかなったのですが、今回は仕方がなく、道路わきに駐車して、自分で除雪しました。園芸用のスコップしかなかったので、除雪に1時間、林道側に雪の重みで倒れた大型の笹などの除去に30分かかりました。

除雪の道具としては、全然駄目であることが判明しましたので、その日の帰りに京北のコメリに寄って、除雪用の道具(スコップ、プッシャー)を購入しました。28日に実際にこの道具を試しに使ってみましたが、効率が全然違います。40mの林道の除雪はおそらく30分もかからないでしょう。やはり、最適な道具はそれにかなうものなしということです。

 

ガーデンは雪に埋もれてしまうと、まず、何の仕事もできません。40cmの積雪の場合は、4日間、地面が見えてきませんでした。今日30日午前中は、28日に事前に雪を除去しておいた場所を開墾して、スイセンの球根を植えました。今年もいろいろと球根を仕入れていたのですが、まだ、チューリップ、アリウムギガンチウム、ユリの球根を植えることができていません。仕方がないので、年明け早々に、これらの植え付けを行う予定です。本来は、11月末までには植えようと思っていたのですが、さまざまの宿根草や2年草の苗の植え付けに手間取り、ずるずるときてしまいました。

 

ガーデンの宿根草の中にも、寒さに弱いものがあります。アメジストセージは昨年末-15になった時に全滅してしまいましたので、今年は根の上に枯れた雑草を山盛り積み重ね、マルチングとしました。これまでのところ-5にも至っていませんので、まだ、根は生きています。果たして、春を迎えられるかは、4月以降にならないとわかりません。

 

また、柑橘類の植物は、どちらかというと寒さに弱い植物です。本当はレモンを植えたかったのですが、寒冷地では冬は室内でないと越せないと書かれていましたので、ダメもとでポンカンを植えています。ただ、18日の大雪で、葉っぱがすべて黄色になってしまいました。大急ぎで、根の周りに枯れた雑草によるマルチングを施し、木全体を不織布で覆ってみました。果たして新たに葉が芽吹くかはわかりません。まあ、ダメもとですので、様子を見ることにします。

 

その他、大雪の影響は、樹木のコニファーにも出ており、木の香りがよいので植えたブルーアイスが8本、雪の重みで倒れてしまいましたので、今日の午後は、倒れないように杭で補強します。倒れると木の枝、幹と根にダメージを与えますので、今後は冬の到来の前に、雪つりをしないとだめですね。金沢の兼六園とかでやっているあれです。

 

一方で、雪にも負けず、寒波に耐えている木もあります。いただいて植えたユーカリポポラスは-15に耐えるらしいのですが、今のところ元気です。新潟産のオリーブも4本植えたのですが、雪に完全に埋もれていますが、まだ、大丈夫そうです。

 

ところで、C.W.ニコルさんをご存知でしょうか。残念ながら2020年の4月に79歳で亡くなりました。私は、若い頃、ニコルさんの著書をよく読んでいました。一度大阪の書店でサイン会に偶然出会わせ、新刊「北極ガラスの物語」を購入しサインをいただいたこともあります。ニコルさんの著作の中で、特に、長野の黒姫を終の棲家としてからのエッセイは、とても共感するものでした。ニコルさんは私費を投じて黒姫の荒れた山林を購入し、森の再生活動を行った人です。森は「アファンの森」と名付けられ、今は「C.W.ニコル・アファンの森財団」が引き継ぎ活動を続けています。

 

2013年に出版された「アファンの森の物語」という本を、私は今年入手し、何回か読み返しています。「森をつくる」という本もありましたので、何とか手に入れ読んでみました。さらに「アファンの森の物語」というDVDをヤフオクで発見しましたので、さっそく落札し見てみました。

c.w.ニコル_森をつくる.jpg 

つまるところ、私はニコルさんのように、森をつくる仕事をしたかったのですね。ニコルさんは作家でもあり、タレントでもあり、その収入で山林を購入し、森を再生し、財団をつくり森の維持活動を推進しました。私は、ニコルさんのようにはできないので、退職金をつぎ込み、荒れ地を買い、ガーデンをつくっています。これからガーデンを会社組織とし、利益を出し、周辺の山林を購入するつもりです。そして、スギやヒノキの荒れた山林を、ブナなどの広葉樹が茂る豊かな森に再生したいと思っています。広葉樹を借景とするガーデンは、さぞかし、素晴らしいナチュラルヒーリングガーデンになると思います。まだまだ、時間がかかります。「アファンの森の物語」の本の帯にこう記述されていました。

「私の死後もこの森は生き続けてくれる。たくさんの子供たちがここで遊ぶだろう。そう考えただけで心は安らかになる」 C.W.ニコル

すごい言葉をニコルさんは残されました。

  

明日から、また雪になります。明日はデイサービスの仕事が終わってから、車で帰省します。ちょっと雪が心配です。

ではまた。

京北のガーデンにて

小田木 一富

2021-12-05 12:26:00

2021年12月5日 11月のガーデン便り「冬をどう乗り切るか」

11月のガーデン便りです。

冬がやって来ました。

1130日には初霜が降り、霜柱がいたるところの地面に形成されました。最高気温が10に達しない日々が多くなってきており、寒い中での外の作業は、結構こたえます。

私は体質で耳たぶにしもやけができてしまいます。11月の末で、すでに右耳にしもやけの症状が出てしまいました。すぐに耳を覆うタイプの防寒帽に切り替え、対応しています。また、足の裏もしもやけになるため、厚手のソックスを2重に履いてから長靴を履くように切り替えました。さらに寒くなったら、ソックスの裏に貼るカイロを使用します。長靴も冬用のものに切り替えています。

冬の作業では、作業着の外側に雨ガッパをいつも着ているので、結構な防寒にはなっています。泥などで汚れるのはカッパのみで、日々の作業着の洗濯も毎回行う必要はなくなりました。真夏の炎天下とは全く状況が変わります。

 

それでも今の仕事がしんどくないかと聞かれれば、私は、まったくそのようには思いません。春に咲く花々を想像しながら、ひたすら開墾と苗・球根の植え付けを行っていますが、自然を相手とするこの作業をつらいと思ったことは一度もありません。自分自身でガーデンを造り、森を創っていく。なんと素晴らしい仕事でしょうか。いつか、多くの人々がこのガーデンを訪れ、花々に癒され、森を歩く姿を想像すると、わくわくしてきます。

 

本日12時の気温は6、小雨がぱらついていましたが、2時間ほど作業をしました。

 

ガーデンの花々の開花はほぼ終わり、今咲いているのは一部のバラとサザンカのみです。12月は、新たに咲き始める花はありません。これはガーデンとしては、大きな課題です。

2021.11.16_バラ_マダムヴィオレ_P1030070_s.jpg バラ マダムヴィオレ

2021.11.23_サザンカ_P1030090_s.jpg サザンカ

冬の期間、多くのガーデンは閉園しています。長野大町のラカスタナチュラルヒーリングガーデンは11月の第一週で閉園します。次のオープンは来年の4月中旬です。北海道旭川の上野ファームは10月中旬には閉園、翌年のオープンは4月下旬となります。閉園期間中は、翌年の準備作業を行うことになるのですが、入園料収入が途絶えるため、ガーデン経営としては、非常に厳しい期間です。

 

私は「ブナの森ガーデン」の営業期間は通年にしたいと思っています。ただし、12月から3月中旬までは、花が非常に少なくなってしまうため、入園料は取れないでしょう。仮に入園料を冬期料金で安く設定したとしても、入園料相当の金券を発行して、カフェで使ってもらうようにしなければならないでしょう。まさに、カフェ頼みの冬期営業となってしまいます。これが大きな課題です。

 

以前紹介したラカスタのHMさんは、季節社員さんです。ガーデンのオープンしている期間だけの社員さんです。休園中は、職を失います。当然、給料も入ってきません。

 

私は「ブナの森ガーデン」に集う社員さんたちには、一年中、仕事をしてもらいたいと思っています。冬期をどう乗り切るか、ガーデンにとって最も深刻で重大な課題です。答えはまだ見つけることができないままです。

クリスマスローズなど、冬から春の時期に咲く花をもっと増やすのも一つのアイデアです。カフェの目玉商品があれば、例えば、スイーツとか、持ち帰りできる商品があれば、通年営業に対しての大きな強みとなるのですが。こればかりは、私の専門外の話ですので、採用する社員さんの力量に負うところが大きくなってしまいます。多分、ガーデンオープンにこぎつけても、この大きな課題はそう簡単には解決できないと思っています。若い人たちの意見をいろいろと聞いて、走りながら考えなければならないと思っています。

 

私は63歳になりました。特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができますので、このメールを送ってから、ただちに手続きの書類作成にかかろうと思います。全額の年金が出るのは65歳からですが、生活費が随分と助かります。すでにガーデンに取り組み始めてから3年になるのですね。オープンまでの道のりは、まだまだ、道半ばです。

 

ではまた。

京北のガーデンにて

小田木 一富

2021-11-06 12:34:00

2021年11月6日 10月のガーデン便り「深まる秋」

10月のガーデン便りです。

 

秋が深まってきました。というよりも、冬がもうすぐそこに迫っています。ガーデンの花々は、ほぼ終わりの段階を迎えています。11月は、新たに咲き始める花はほとんどありません。昨年は、ウインターコスモスが何種類かありましたし、キンギョソウの宿根タイプのものもまだありました。パイナップルセージという赤い花も11月に咲くはずだったんですが、いずれも枯れてしまっています。前回の冬、-15近くに下がったせいで、宿根草のウインターコスモス、アメジストセージは全滅。今咲いているアメジストセージは、今春以降で苗を植え付けたものです。キンギョソウ、パイナップルセージは、なぜか夏を超えられませんでした。

 

なかなか、宿根草の管理は難しいですね。枯れてしまったものは、後悔しても仕方がないので、新たに、苗を次々と植え付けています。ウインターコスモスのうち、比較的寒さに強い品種を買ってきましたので、この冬、乗り越えられるか、マルチングで寒さ対策をしつつテストします。来年春以降に咲く花々の種まきは、10月に終えていますので、これから、苗をガーデンに定植していきます。そのほか、チューリップ、アリウム、ユリなどの球根もたくさん買いましたので、11月いっぱいかけて、植え込みを行います。

 2021.10.12_アゲラタム_P1020912_s.jpg アゲラタム

2021.10.19_ノコンギク・夕映え_P1020906_s.jpg ノコンギク

隣接する西側のヒノキ林の山の件、少し話が進展しました。山林は、三人の所有者に分かれており、その境界の確認に手間取りましたが、3つの土地の境界が確認でき、うち一つは、私が欲しいと思っている山林の範囲より、北側の山林であることがわかりました。残り二人(Yさん、Kさん)とコンタクトを取り、Yさんからは、ヒノキの伐採OK、土地の貸与OKの確認を取りました。Kさんとは先週こちらの希望を話し、回答待ちの状態です。「ブナの森ガーデン」の実現が、少しずつ形になってきました。

 

それからヒノキ伐採後に植え付けるブナの苗木を育てるため、ブナの種子の採取に行ってきました。場所は、京都、滋賀、福井の三県県境に位置する生杉(おいすぎ)というところです。ここにブナ原生林が残っています。生杉は私が若いころ、よく行った場所です。生杉まで車で入り、そこからブナ林を登って三国峠を経て枕谷から地蔵峠へ抜ける登山道です。地蔵峠は京都大学芦生演習林の入り口になっており、許可がないとそこから先へは進めません。地蔵峠からは林道を下って生杉に戻ります。 以前生杉に行ったのは、子どもが小学生の時、一緒に登ったのが最後で、それ以降は、まったく行っていませんでした。

以前の経験から、ブナの種子は10月に入れば落下していることがわかっていましたので、1012日に生杉でのブナの種子採取を決行しました。 ブナは豊作、不作、凶作の年があり、発芽可能なブナの実を採取できるかは行ってみないとわかりません。今年は不作の年でした。それでも20本以上のブナの大木の下を探し回って、何とか600個ほどの発芽可能な種子を採取できました。ふっくらと膨らんだブナの実は、黒光りしていて、私にはまるで宝石のように見えます。すぐに京北で種まきをしましたが、もう少し苗を準備したいと考え、後日もう一度生杉に行き種を採取、合計1100個の種まきを完了しました。

2021.10.12_ブナの種子_生杉・枕谷_P1020828_s.jpg 生杉にてブナの種子

発芽するブナの苗木は、個体差を有しており、どれほどの割合で、京北の環境に適用するブナに成長できるかはわかりません。10%でも大きく成長してくれる苗が残れば、100本ほどのブナが森を形成していくことができるのでは、と考えています。実生からのブナに加えて、昆虫学者のSK先生から今後譲り受けるブナがあれば、何とか形になるのではと思っています。ブナの発芽は、来年春。いずれにしても、5年先、10年先を考えながらのブナの森ガーデンの実現となります。まだまだ先は長いです。

 

 

ではまた。

京北のガーデンにて

小田木 一富 

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