ガーデン便り

2022-03-06 12:53:00

2022年3月6日 2月のガーデン便り「雪解け」

2月のガーデン便りです。

 

長かった雪の季節がほぼ終わりました。最後までガーデンに残っていた雪は解けてなくなり、やっと開墾と植え付けがまともにできるようになりました。

と書き出そうと思っていたのですが、なんと、今日は朝から雪が降っています。930分の時点で気温は3、積雪は3cmです。

 

2月は雪のせいもありましたが、西側のヒノキの山林伐採のため、所有者との交渉、伐採業者との交渉、伐採のための重機進入路の確保の準備に追われ、開墾と植え付けの作業はほとんど進んでいません。ただし、春はすぐそこまでやってきています。ロウバイの花が咲き、ネコヤナギのモフモフの花穂(かすい)が見事に開いています。

2022.02.26_ネコヤナギのモフモフ_IMG_0652_s.jpg 

本日中には、ユリの球根の植え付けを完了させたいと思っていますが、昼からの天気次第です。2月、3月は新苗が結構店頭に出てきますので、ついついあちこちの売り場で買ってしまいます。植え付けができていないのでどんどんたまる一方となってしまっています。植えるものには事欠かない状況を何とかするには、一苗一苗順次植えていくしかありません。

 

雪の被害も結構ありました。シャクナゲ等の枝折れが、結構発生しました。昨年植えた柑橘系のポンカンは、12月の大雪にやられてとうとう枯れてしまいました。耐寒性は全然ダメでしたね。ところが、京北のコメリで売られていたレモンの苗は、外の売り場で大雪が積もっているにもかかわらず、じっと耐え、緑の葉っぱは、まったく枯れていなかったのです。これには驚きました。耐寒性有りの苗と確信し、苗木が半額になったところで早速購入して、ガーデンに持ってきました。枯れたポンカンを除去してから、このレモンを植え付ける予定です。

 

2月は「ブナの森ガーデン」の実現のための大きな成果が出てきました。まさに山が動いた、道が開けた、と言っても過言ではありません。

 

まず、ガーデン西側の山林700坪を所有者であるYさんから、借りる交渉がまとまりました。 Yさんの山林は私が借りる部分を含めて2856坪あります。本来であれば、土地を分筆し700坪を買うことになるのですが、山林を分筆するためには測量をしなければなりません。測量には多額の費用がかかる(土地購入費用よりはるかに高い)ため、無駄金は使わないこととし、賃貸とすることにしました。

 

公道、林道に面していない山林の土地査定価格はほとんどゼロで、スギ、ヒノキの立ち木の売却価格がその価値となります。ところが、現実には、伐採のための経費(人件費、重機費用、搬出費用)が、木材売却価格を上回ってしまうため、山林所有者は儲かるどころか、経費の赤字部分を支払わなければなりません。今回の場合は、この伐採費用の赤字分を私が負担することとし、伐採後の山林を借りるということにしたわけです。Yさんにとっては、伐採での費用負担はないし賃貸料が収入として入るので非常に得な話となるようにしています。さらに、ガーデン経営が安定し黒字化できた暁には、所有の山すべてを買いますとYさんには伝えています。

 

一方、Yさんの山林の南側の山林150坪は、Kさんという方の所有となっていました。連絡を取り、土地買収と木材伐採の交渉を行いましたが、Kさんの要求金額が高すぎ、結局物別れの結果となりました。この土地のヒノキ、スギが残ると、南側にあるため、Yさんの山林の日照条件が悪くなります。ガーデン側も日照が一部制限されます。しかしながら、山林の取引の常識からかけ離れた金額で買うわけにはいきません。断腸の思いですが、交渉はこちらからお断りしました。双方がWin Winとならなければ、けっして取引を行ってはならないというのが私の信念です。

 

山林の伐採業者の選択肢としては、地元京北の京北森林組合、隣の南丹市の日吉森林組合、あとは地元の林業業者の3つがあります。私は、京北森林組合には、このガーデンの土地を買った際、スギ50本を伐採してもらいましたので、まずは京北森林組合で見積を取るつもりでおりました。ところが、Yさんから、四辻木材という業者が知り合いにいるので、声をかけてみたとの連絡をうけました。その翌日、木材搬出路の笹刈りをしていると、四辻木材の若社長とその親父さんが山にやってきました。なんと対応の早いこと。二人を伐採依頼する場所に案内し、いろいろと話を聞きました。その話の中で、北隣のMさんのヒノキを一緒に伐採する旨を聞いたのです。

 

なんということでしょう。たまたま偶然にも、ガーデン西隣の山林と西北隣の山林の伐採の話が同時に進んでいたのです。これは、私にとってはこれ幸い。私の費用負担はYさんの山林700130本のヒノキ伐採分のみ、Mさんの分は関係ありません。同時に伐採が行われることによって、ガーデンから見た借景に入ってくるヒノキが、ほとんどなくなることになります。木材搬出ルートは、ガーデンの桜並木の間を重機を通して行うということになりました。桜並木の場所は、将来の木材伐採を想定して重機が出入りできるようにするため、ガーデンとの間にフェンスを設置して長方形に分断していた場所です。西と東のフェンスを開閉できるように細工し、今回の伐採に使えるようにしました。

 

Mさんの伐採が追加され、材木伐採から搬出にかかる日数は倍になりますが、私にとっては出費を最小限に抑えて、ガーデン周辺のヒノキ伐採を行うことができるわけです。四辻木材へ支払う費用は最小限の負担だけとなりました。Yさんはちょっと高いなと言います。本当は相見積もりを取るべきでしょうが、私としてはYさんの山林700坪とMさんの山林444坪、合わせて1144坪の山林のヒノキ250本近くをわずかの負担で伐採できることになりますので、かなりリーズナブルだといえるでしょう。伐採の着手は3月下旬の予定です。

 

Yさんは、今後の私のガーデン経営を心配し、いろいろとプラスになることをやってみようとしてくれています。山林を伐採し、樹種を広葉樹に転換して植林をするのには、補助金が出るということで、山林所有者としてその申請をやってみようとしています。また、自分の知り合いに、声をかけて、よくガーデンに連れてきています。

 

先日、Yさんの紹介で、森林プランナーの肩書で活動している女性がガーデンにやってきました。UMさんという30代と思われる方です。土木工学の修士課程を修了し、日吉森林組合で10年ほど勤務ののち、独立して森林プランナーとして活動しているとのこと。今の日本の森林の現状を憂い、どうやったら森林をもっと活用できるのかをコーディネイトするのが仕事だそうで、話を聞くと、どうも人と人を結びつけるのを得意としているようでした。

 

私は、ヒノキを伐採して、ブナを中心とした広葉樹林につくり変えようとしていることに対して、アドバイスをもらおうと思ったのですが、彼女は真っ先にC.W.ニコルさんを御存じですか?と聞いてきました。これには驚きました。さらに驚いたことには、彼女は、日吉森林組合の研修の一環で、長野黒姫のC.W.ニコルさんのアファンの森に行き、ニコルさんの片腕として森の整備に当たっていた松木さんの指導を受けたのだそうです。

 

UMさん、Yさん、私で、当該山林の現場を見て回りながら、彼女は、この山林であれば、ブナなどの広葉樹林につくり変えるにはうってつけだと思うと言ってくれました。さらに、この山林は立地条件としてすごくポテンシャルが高いですね、とも言われました。私はうれしくなりました。

 

ガーデンを造り、森を創っていくために、若い人が集まってくれるか心配であるという話をしたところ、彼女はこう言いました。今の若い世代の根本思想には、ジブリ、宮崎駿の考え方が根底にある、ブナの森ガーデンのイメージはそれにマッチしているので、若い世代の共感は得られるのではないか、だそうです。 私は、なるほどと思いました。同時に、ブナの森ガーデンを実現するためには、私一人の力では到底達成できないので、できるだけ早いタイミングで、ホームページ、SNSなどでの発信を起こなわなければだめだなと確信しました。

 

そのあと、建物内でココアを飲みながら、いろいろと地元で相談できる方々を紹介いただき、スズキのジムニーを颯爽と運転して彼女は帰って行きました。

 

ではまた。

京北のガーデンにて

小田木 一富