ガーデン便り
2024年11月2日 10月のガーデン便り 「鹿の猛襲」
10月のガーデン便りです。
今日は朝から雨です。ガーデンに来ても外での作業はほとんどできません。休みにしても良かったのですが、実は、この1か月、連日鹿の猛襲に会い、ガーデンに鹿が侵入していないかの確認が必要なため、ガーデンに来ざるを得ないのです。
8月末に山のエリアから始まった鹿の侵入ですが、9月末に行ったネットの追加で、一定の成果はありました。ガーデンには開墾スタートの際、高さ1.5mの防獣フェンスを周囲に張り巡らしました。この5年間この高さのフェンスだけで鹿はガーデンに侵入しませんでした。ただし、京北土木事務所の里道の工事などで、南側のフェンスの区域で1.5mの高さが相対的に低くなってしまった箇所があり、その部分を含め2m以上に高さにネットを追加施工し、まあ、これで大丈夫だろうとたかをくくっていました。
ところが敵もさるもの。ジャンプができることを学習した若い鹿の一頭が、柵越えジャンプを試み、2mの高さの支柱を自分の体重で折ることを学習してしまったのです。ジャンプして自分の足をネットに引っ掛け、自分が落下するときに体重が支柱にかかりますので、支柱はあっけなく折れてしまいます。その後で、ネットの高さが低くなった場所を再びジャンプし、鹿はまんまとガーデンに侵入してきました。
鹿に食べられた植物を調査し、鹿が好む植物が把握できました。ニッコウキスゲなどキスゲ(ヘメロカリス)の仲間、サクラ、バラ、ギボウシ、タイタンビカス、モミジアオイなどは、好みのようです。アメリカテマリシモツケも食われました。
最初に使用した支柱は、園芸用のプラスチックの支柱でした。支柱は、0.2mmぐらいの薄い鉄のパイプを芯にしてプラスチック樹脂で被覆したものです。野菜とかを支えるには十分な強度がありますが、鹿の体重がかかればひとたまりもありません。 これでは全くダメですので、プラスチックパイプを鉄パイプに変更していきました。
使用したのは矢崎のイレクターパイプです。鉄パイプの外側にプラスチックを被覆してあり、直径は28mmあります。強度は十分です。ただし、コストは園芸用支柱に対して2倍以上かかります。やらざるを得ないのが痛いですね。脆弱性の高い箇所から順次支柱をイレクターパイプに変更していきました。
すべての支柱を一度に交換できればよいのですが、交換の時間もかかりますし、資材の調達も一度にはできません。ホームセンターでイレクターパイプを買うのですが、たくさんのパイプが棚にあるわけでもなく、すぐに品切れ、次の入荷まで待たねばなりません。
ということで、本日現在、南側の防獣ネットの支柱はほぼイレクターに変更できましたが、北西側はまだ未着手です。脆弱な箇所は残っています。
支柱の交換を行っている最中、敵は再び、残っているプラスチック支柱の箇所をめざしてジャンプを試み、支柱を折り、ガーデン内に侵入します。そして、自分の好みの植物を見つけるとそれを食べて、短時間でガーデンから脱出します。これは残されていたふんがほとんどないため、滞在時間は短時間だろうと推定したものです。また、侵入の時間帯ですが、おそらく日中の夕方ではないかと思います。なぜかというと、夜遅くになってしまうと、暗闇の中でネットが良く見えないため、ネットにからんでしまう危険性が高まり脱出に時間がかかるためです。
私がガーデンで作業をしていると、決まって夕方に1頭の若い鹿が現れます。毎日の偵察ですね。隙あれば、ガーデンに侵入しようと考えているのでしょう。敵は人間を見ても、あまり恐れなくなってきています。私が支柱の入れ替え作業をしていた時、視線を感じましたのでそちらを見ると一頭の鹿が私の方をじっと見ていました。多少威嚇しても、すぐには逃げません。追っかけていくと、やっとすたこらサッサと逃げていきます。
ガーデンのエントランスには、防獣フェンスはありません。そのため、鹿は毎晩やって来ます。エントランスに植えたドイツトウヒ、コニファーブルーアイスは、今まで鹿は全く食べませんでした。ところが鹿が増えすぎて食べ物がなくなってきているのでしょう。ドイツトウヒとブルーアイスの葉ではなく幹の皮をはいで食べていきました。これは、たまりません。幹の周囲のすべての皮をはがされると植物は枯れてしまいます。すぐに幹の周りを金網で覆いました。
エントランスゾーンは鹿のふんだらけです。鹿のお気に入りの場所となっているようで、滞在時間が長いのでしょうね。 鹿との攻防戦はまだまだ続きます。防獣フェンスや防獣ネットは、これで完璧というところにはなかなか至りません。今は、見てくれは二の次とし、とにかくもガーデンでの鹿の被害を最小限にするしかありません。
日本列島全体でも、鹿は大幅に増加しているため、各地でその被害の状況が、ときどきニュースで流れます。国や各自治体は、施策として鹿対策にもっと本腰で乗り出してほしいものです。このままの状況が続くと、日本の森林資源、農産物がどんどん鹿の食べ物となっていくだけです。
では、10月の開花状況をお話ししたいと思います。
コルチカムは秋に咲く花です。高さは15cmぐらいしかありません。植えてある場所にクラウンベッチのつるが浸食してきましたが、何とか今年も咲きました。冬の間に、別の場所に植え替える予定です。
秋バラは本来はもっと咲く予定でしたが、大半は鹿につぼみや葉を食べられてしまい、写真のものが今年の状況です。来年に向けて、手入れをしなければなりません。
キスゲの仲間は、今年はじめて二番花を秋に咲かせました。咲いたのはニッコウキスゲ、ムサシノキスゲ、ヒメキスゲです。ただし、ニッコウキスゲ、ムサシノキスゲは鹿の侵入による食害に会い、見る影もありません。
シュウメイギクは桃色と白色が咲きました。もう少し株を増やしたいですね。
タイタンビカスは鹿の食害に会いましたが、鹿が見逃したものが咲きました。こちらは、夏の花ですので、もうおしまいです。
キクイモはほっておくと高さが2m以上になります。今年は背丈を抑えるため頻繁に剪定を繰り返したので、花はほとんど咲きませんでした。イモは食用となります。
クレオメはまだ咲いています。夏と違って、秋のやわらかな日差しとなり、花が日照ですぐにしぼんでしまうことはなくなりました。
センニチコウの一種であるゴンフレナラブラブラブは霜が降りるまで咲き続けます。外で越冬できないので、一年草扱いとするか、あるいは今年も室内での越冬を試みるかですね。ちなみに去年は室内での越冬は失敗しました。
ブッドレアは真夏の暑い時期は花数が減りましたが、秋になって、また、花が良く咲くようになりました。
リコリスオーレアはヒガンバナの仲間です。私は植えた場所を忘れていましたが、雑草が生い茂る中、1本の黄色のリコリスが咲いているのを見つけ、あわてて写真を撮りました。今年、別の場所にも買った球根を植え付けましたので、来年が楽しみです。
ダリア類は、ガッツァリアの桃色と白色が元気に咲いています。ダリアは霜が降りると一気に枯れてしまいますので、その後で根っこを掘り起こして、越冬させなければなりません。
野菊の仲間は、自生種であるヨメナが2種、ノコンギクが2種咲いています。ヨメナは勝手にあちこち生えてきますが、宿根草を植え付ける場所以外はそのまま残していますので、ガーデンの秋の彩りとなっています。
サザンカは今が最盛期ですね。いろいろと咲いていますが、草取りができていないので、木が草に埋もれています。
アゲラタムは一年草ですが種まきが遅かったため、いまだに全面開花となっていません。これも霜が降りると枯れてしまいます。
その他、ワレモコウ、ハギ、オトコエシ、ジンジャーリリー、オオケタデ、シオン、ムラサキシキブ(実)、ラベンダーセージ、ホトトギス、百日草、カワラナデシコ、などが開花、もしくは開花中です。
本日12時00分の気温は19.0℃、天気は雨です。
今、雨は土砂降りの状態が11時頃から続いています。建物の周囲が、ひどい水たまり状態となり、現在、建物内部に水がしみ出し、大変な状態となってきました。建物周囲の外構工事がまだできていないためです。ガーデン上空に、線状降水帯が居座っています。時間雨量は100mm近くになっていると思います。
今日の午後は、建物内部にたまった水をスポンジで除去する作業に追われそうです。
ではまた。
ブナの森ガーデンにて
小田木 一富